ジェリゴのテーマ曲はエンディングで流れます

予告からダメさの予感漂う映画ですが、「今日観なきゃネタにならんでしょう」とKさんに言われて。劇場は満員。

なんか、久しぶりに漠然と(というよりすべてが)ダメな映画を見た気がする。そういう意味では非常に楽しめた。犬との格闘とかカーチェイスとかで、意味不明にブレブレ&不安定ズーム&狭シャッター開角度の疑似ドキュメンタリーコンボが数カット入ったりすると、監督が素で混乱しているのがありありとわかって爆笑できる。あれ、おれはアクション映画を見にきたんだっけ。まあエネミーラインの人だし。

いや、オリジナルもいいできの映画だったとはいいませんがね、これ見るとリチャード・ドナーって職人としては巧かったんだなあ、と思いますよ。このリメイク、何がつまらないって、オリジナルがほぼそれ「だけ」で売っていたと言ってもいい「(メジャーにしては)エグい人死に」シーンがまったく面白くない。見ている間一瞬たりともイヤな気分を味わえないホラー映画ってなんなんでしょうね。あ、ホラーじゃなくてアクションだからいいのか。

だからね、落ちてくる避雷針の主観なんてつまらない画を撮る前にもっと撮るべき画があるだろう!ってことですよ。もっとドン引きして観客に「見ちゃった気分」を味わわせんとどうすんねん。首つり自殺の瞬間を見てまったく嫌な気持ちにならない映画ってどうですか。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の絞首刑のほうが100倍イヤな気分になれますよ!我々はもう「回路」の「飛び降り自殺ワンカット」を通過してきたんですよ!リメイク「リング」だってもっとマシでしたよ!「隠された記憶」のすばらしい人死にの映像を見た後だったからいけないのでしょうか。アルジェントとはいいませんが、ダークキャッスル程度には工夫してくださいよ!

禍々しく見えるものがひとつも登場しないというある意味恐ろしい映画。出来事の先回りをして鳴りまくる劇伴。そりゃそうやってカメラがそうパンして戻ったらそこにいるわな、という出来事を予告してまわるカメラワーク。見ている間そのダメさがいちいち楽しくてしょうがなかったんですが、まあいわゆる「フツーにダメな映画」でした。

冒頭のバチカンからずーっっっと「これ、なんかに似てるなあ」と思ってたんですが、いま「エンド・オブ・デイズ」だということに気がつきました。冒頭、バチカン会議の黙示録へのこじつけ(凶兆を語る場面)の多くが「アメリカにとっての災難」だったのには笑います。ローマ帝国=ローマ条約=EUってのはさすがにどうかと思いますよ。

しかし、シューリスのカメラマン、というのが猛烈に板についてなくて笑える、とか、ポスルスウェイトの神父が見た目で挙動不審なので笑える、とか、ミア・ファローの乳母が登場した瞬間すでに奇怪なので笑える、とか無駄に豪華なキャスティングをした部分が全部笑いにいくというのはどういうことなんでしょうか。