やっとまともに役が付いたよ,という話

たまたま飯を食いながらテレビを観ていたら「相棒」というドラマがやっていて、実はそんなに観たことはなかったのだけれど、いきなりバイオハザードだのP4(劇中では『レベル4』という言い方をしていましたが)施設だのNBC部隊だのが出てきて、こんなドラマだったっけ、金かかってんな〜、と思いながらみていたのだが、そのウィルス事件の黒幕が陸自だったので驚いた。おお、日本でもこんなお話ができるようになったのね、と。

ところがmixiの日記を検索してみると、やれテロ朝だの朝日の自衛隊批判に萎えただのといったコメントが幅をきかせているではありませんか。えええ?これってやっと自衛隊がフィクションの道具としてパブリックに認められた瞬間じゃないの?と思ったのだが、どうやらネット右な人たちの目にはそう映らないらしい。

ええ、確かに「ガメラ」は自衛隊を大フィーチャーしてましたよ。でもそれは興行成績が示すとおり、多分にオタクのものでありました。翻ってアメリカ映画を見てご覧なさい、アメリカ軍が大活躍する映画から軍がとんでもない陰謀を企んでいる映画まで色とりどりでございます。わたしは今回の「相棒」に「やっと自衛隊も気軽にフィクションの道具として扱われるような一人前として認められたんだな」という感慨を抱きました。なにせいままで自衛隊の活躍する映画といったら腫れ物を触るように慎重だったものですから、メジャーなテレビドラマで悪役として扱われるってことは、世間的には「自衛隊を気軽に語っていい」という風潮が出てきたことじゃないのかしら。フィクションの道具として認められるって事は重要ですよ。軍隊が悪役だったりするアメリカ映画を見て「左だ」と政治的なことを突っこむ野暮な人は(それほど)いないでしょ。なにせエリア51なる場所があるように、アメリカ軍と来たらエイリアンと秘密協定を結んでいるなんて物語をやっても誰も文句は(ツッコミはあるかもしらんが)いわんでしょ。それはアメリカ軍という軍隊それ自体がフィクショナルなものとして認められているってことなのね。

つまりですね、政治談義とは無縁のところでフィクションで「細菌兵器を開発していた」なんて描かれるまでに自衛隊(とか防衛省)もなったのだなあ、ということです。ここでテレ朝云々言う人はフィクションというものを視る目が無いのでは。今回自衛隊が悪役として扱われたってことはむしろ自衛隊の地位向上なのではないかと思うのですがねえ。

まあ、そのドラマ自体はどうでもよい話なんですが。