思い出は大切に

レゲーマー向け話題。

友人が「カプコンクラシックスコレクション」を購入したというので、早速彼の家にいってみると、友人二人はちょうどロストワールドをやっているところだった(ただし、どういう問題があるのか、海外版以降の変更タイトル「フォゴットンワールド」がつけられていたが)。

「ねえ伊藤君……」

と横シューのくせにキャラが縦長で当り判定が凶悪すぎる名無しの超戦士を操りながら、友人が言う。

「何……」
「このゲームのデモ、覚えてる……」
「ゲーセンでやってたよ、一応。アレだろ。『パラメシウムごときで俺は倒せん!』『畜生!まだ震えが止まらないぜ!』だろ」
「まあ見てて」

と言いつつ友人二人は火山っぽい面をクリアした。そこで展開された光景は、僕の中の「ロストワールド」の思い出を大きく塗り替えることになる。

そう、彼らは「しゃべった」。音声がついていたのだ。

ゲーセンというのは、そもそも壮絶にうるさい場所であったから、当時、音声が聴こえなかったとしても不思議ではないかもしれない。それにしても、「ゼクセクス」はあのヘボい声がはっきり聴こえていた(「私自らが出る!」今調べたら、あのヘボい声、島本須美だとぉぉぉ)。いくらなんでもデモシーンの声が聞こえないなんてことがあるのだろうか。とにかく、俺と、友人達の記憶の中の「ロストワールド」デモは、画像と字幕と音楽だけの、シンプルなものだった。

しかし、目の前の、このベタ移植のゲームのデモの中で、超戦士たちははっきりしゃべっている。

ものすごくヘボい声で。

昔のゲームというのには往々にしてコレがあるのだが、おそらくこれは開発スタッフの声ではなかろうか。あまりにヘナヘナな、ほとんどトラウマ級の脱力を催す音声が、ゴツゴツでムキムキな超戦士たちにアテられている様は、ほとんど悪夢といってよく、ぶっちゃけ聴きたくなかった。ものすごいがっかりした。この音声、当時から基盤に入っていたのだろうか。

ゲーセンというのは猛烈にうるさい場所である。だからぼくたちは、聴かなくてよかったものを当時聴かずにすんでいたのだ。

そのあとで、当時音楽がさっぱり印象に残っていない「戦場の狼II」をやると、音楽がどうにも「U.S.ネイビー」にしか聴こえない。と言ったら友人Bが「そうか、おれは『マジックソード』にしか聴こえん」と言う。まあどれも松前サウンドなので当然と言えば当然なのだが、松前真奈美さんがやっているから、という以上に、この頃のカプコンの音源のアクというのがあまりに強いせいではないか、とも思う。誰がやろうがおんなじ曲に聴こえるほどギャンギャンいうメタリックな音のアクが強すぎて、なんだかどの面の曲も一緒に聴こえてしまう。

映画ファンにはさっぱりわからないゲームミュージックの話ですみません。