amazon:スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護

 蓮實重彦曰く、

草野球は醜い。

さらには

その凡庸さはほとんど井ノ頭線の域に達している。

 本屋でたまたま開いたページがここだったので、即買い(ISBN: 479176109X)。
 というわけで、元総長の暴走ぶりはとどまるところをしらず、これがどうやら自分の草野球チームについて語ったものである(チーム枯木灘だろうか)というのもすごいことでありんす。
 全編爆笑の嵐。キャッチャーの境界侵犯とかそういう話がアホすぎて電車の中で吹き出しそうになったので、自宅に持ち帰って笑うことにしました。
 思えば、元総長@現映画狂人はつねにエンターテイナーだったのだなあ。私はといえばそういう読み方しかしてこなかったし、本人も「表層批評宣言」で「言葉の運動として書かれたのだから、それがいささか暴力的な印象をもたらすとしても、その責任は内面として背負われるべきものじゃない」とか言ってたし(うろおぼえ)。やっぱり「言語芸者」としてハスミンは最強なのであり、そこがポモ嫌いの方々にも例外的に扱われることがあるゆえんなのではないでせうか(その点、「シネマの煽動装置」とか「凡庸さについてお話させていただきます」とか、最強)。
 スポーツ、というものに関していえば、わたしは体力的にほぼイソップ同位体と言っても過言ではなかったわけで、しかも政治的理由によりテレビが1台しかなかった伊藤家にあって、北斗の拳ドラゴンボールは常にベースボール中継の父権的抑圧に敗れ去る運命にあったのです。スポーツそのものは憎んでいるといってもよろしい。だから、私はこの本にあるスポーツの話題はほとんど知らないしついていけないのだけれども、渡部直己とのサッカー対談中で、中田をあいつは動物だ、と断言したりするハスミンはやっぱり面白すぎて、内容が解らなくてもとりあえず一冊のあいだ笑い抜けてしまったという現実を前にすると、やはりハスミンは「言語芸者」なのだと、それゆえハスミンの言うことは正論なのだと思うのでありました。
 それぞれのスポーツ(野球とサッカー)を好きな人が読んだら怒るかもしれないけど、どうだろう。こんなギャグの応酬にまじめに怒る人、いるんだろうか。