有意義な休日

というわけで、山本タカトさんの個展に行ってきたのだった。

http://www.2minus.com/0605takato.html

ルーサイト・ギャラリーは、柳橋の芸者、市丸さんのお宅だったものを改装(てかほとんどそのままだけど)してギャラリーにした場所。

http://www.2minus.com/koituki_lunar.html

を見ると、去年のこの時期に恋月姫さんの人形も展示されてたみたいですな。おうちをそのまま使っているので、玄関の受付(三和土の奥に何の工夫もなくもっさりある感じ)がちょっと大変だったり(意外と、というと失礼ですが、かなり混んでいたのです)。

一階、二階、地下室に展示があったのだけれども、地下室の階段というか半梯子というか、下肢障害者の私にとってはかなり微妙なつくりで、うしろにいた女の子(女性が非常に多かったです、はい。4/1くらいはゴスっぽい子でした)もあぶないあぶない言ってましたから、ギアをつけた私にはちょっとひやひやものでした。

チョイス的には、エロよりもグロに振った感じのセレクト。ま、エロもなくはないんですが、おとなしめの絵を選んである感じでした(え?いや、別に残念じゃないっすよ)。

照明をもうちょっと絵に反射しないようにかけてくれたらなあ、とかいろいろ思うところはありましたが、建物そのものの雰囲気はとにかくすばらしかったし、生で見たタカトさんの原画は印刷とは違う迫力というか端正さみたいなものがあって、たいへん美味しゅうございました。

そのあと、渋谷に移動してミヒャエル・ハネケの「隠された記憶」。

これすごいです。何がすごいって、清の「CURE」交番シーン以来と言ってもいいナイス人死にが見られます!あまりのすごさにその場面ではガッツポーズをとりたくなったほど冷酷ですばらしいです!人が死ぬ瞬間をリュミエールが撮ったらあんなアングルであんなタイミングになるはずです!このワンカットで傑作決定。

「ワンカット内で人が死ぬ」

スピの「シンドラーのリスト」「ミュンヘン」もそうです。清の「回路」の名高い「飛び降り自殺をワンカットでやる」という映画史上最も嫌なCGの使い方もそうですが、「ワンカット内で何事か起こる」というのは、漫画にも、実はアニメにもできない、映画ならではの武器でありまして、そのパワーは嫌なものを見せ付けるとき最大の効果を発揮します。逆に言えば、カットを割るほど、映画は漫画というメディアとの差異を失っていくともいえるでしょう。ワンカットのもつ暴力、観客に「見ちまった」と思わせる力こそが、映画の最大の特性なのかもしれません。

「とにかく、それは、起こってしまって、とりかえしがつかない」

カットを割らずに見せるというのは、そういうことなのだ、と映画ならではの「事実という残酷さ」の力を堪能させていただきました。

虫けらみたいに人間を見つめて動じることがないふてぶてしいカメラが素敵な映画です。ゴールデンウィークでいちばん嫌な気分を堪能できるお勧めの一品でした。

え?もちろん一人ですよ当たり前でしょうが!