ハスミンの帝国

黒沢清の映画術」を持ってアテネ・フランセへ行く。いそいそと。びっこ引きに水道橋駅からあそこまでの坂は激ツラい。デブとあればなおさらだ。そういうわけで私はあの起伏に富みまくった一体があまり好きではない。

 というわけで、キヨシ・クロサワ・アーリーデイズであります。立教時代の黒沢さんの学生映画でありんす。

  • 「白い肌に狂う牙」。主役の人の顔がものすごい吸血鬼顔で感動する。岸田森の吸血鬼にならば、かなり肉迫している。顔だけで勝利しているような映画。なのだが、「死ななかったらどうしよう」という無限への恐怖がここで出ているあたり、凡庸な感想ですが「変わってないんじゃん」ということですが。
  • SCHOOL DAYS」。エロシーンがあってかなりびっくりする。ワンカット(ではないのだけれど、同アングルFIXで延々)エロ。ここが無性に面白くて笑いたかったのだけれども、隣に座っていた観客が女性だったので我慢して堪える。ハスミンが登場するたびに(2カットだけだけど)笑いが起きる。
  • 「SCHOOL SOUNDS」は、なんつーか万田作品ですね、これは。笑えるナレーションが延々と続くあたり。部屋の中から外へカメラが出ていったときには、ちょっと「おおっ」とか思いました。

ミーハーに目撃有名人報告。中原昌也さん。最後列で目撃。

伊丹パートが評判な「黒沢清の映画術」ですけど、なんかこれ読んでいると柳下/山形やおいの例の本を連想してしまい、「立教周辺映画人やおい」というのができそうな気がしている腐った脳はいかがですか。あの本を読んでいると、黒沢さんはともかく、伊丹さんまでもが「蓮實センセに認めてもらいたくてっ・・・」という、あこがれのハスミン先生を中心とした人間関係が浮かび上がってきて、そこに青山、塩田、篠崎(敬称略)といった面々が登場すると、一大801漫画が書けそうな気がするのです。本書でも直接に語られる青山さん・篠崎さんへの黒沢さんの嫉妬、「黄泉がえり」で成功した塩田さんへの複雑な思い、などをからめると、それはたまらないものが出来上がるのではないかと。

問題は、シネフィルなのにそんな腐った脳を持って、しかも漫画がかけるという、3つの条件をクリアした神のような女子がいるかどうかということですが。