ブロークン・フラワーズ

いつものマクー空間もといジャームッシュ空間。ユルい笑いにユルい物語。とはいえ、仕込まれたネタ数そのものは多めで、気がつけばネタが途切れる時間というのがあまりないことに気がつく。笑いはユルいが、わりと矢継ぎばやなので、結果、ずっとユルユルと笑っているというかニヤニヤしているということになり、ヘンな意味で息もつかせぬ感じ。

  • 劇場ではあまり笑いがなかったけど、繰り返し使用されるドン・ジョンソンネタは普通に面白い
  • 隣人の焼いてくれたCDの選曲のユルさが絶妙
  • もはや「マーレイにハズれなし」ということになりつつあるのではないか
  • 時々入るエロスポット照身霊波光線モードが馬鹿でたいへん素晴らしい
  • 基本的にユルいのだが、動物交流士だけ、「コーヒー&シガレッツ」のテスラ・コイルネタのように、ワンエピソードだけマジギャグモードになる
  • アメリカの田舎なのにときどき日本の高速沿いに見える
  • あの女性をティルダ・スウィントンだと認めるまでにしばらく時間を要した
  • 車の彼はマーレイの息子でしょうか。クレジットがなんたらマーレイって人だったんですけど(だとしたら物語的に律儀な配役ではある)

ビル・マーレイ演じる、ドン・ジョンソンに似た名前のドン・ジョンストンが、差出人不明なのに「あなたに息子がいます」と書かれた手紙をきっかけに、じゃあ誰よと元カノのところを巡礼してまわるわけですがモテ男なだけに容疑者はけっこうな人数なわけで、基本的にそこで遭遇する女性のなんか妙な現状や気まずいモードやエロ光線を楽しむユルい映画。ネタ数がいつものジャームッシュに比べて多め&わかりやすい(というか、ネタだけでもたせている感じもある)ので、そこがあざとく感じられる人もいると思いますが、基本的にストレートでオチもはっきりした(あれ、ぜんぜんオチてるんですけど、あれでオチてないって人はどういうものをオチっていうんですかね)映画なので、こんなにストレートに楽しめるジャームッシュ映画もひさしぶりなんじゃないでしょうか。