ガンコン

 関東を台風、というものが通り過ぎていっらしく、それはすごい量の雨を地に叩き付けていったらしいのだが、そのころ私はといえばずっと新宿歌舞伎町はロフトプラスワンという地下深くに潜っていたので、台風というものがどんなにひどかったのかは全く体験することがなかったのだった。

 というわけで、ガンコンとは何か、というとこれ。要するに自主映画の上映会、ではあるのだけど、審査員をきうちかずひろさん、押井守さん、大川俊道さん、などがつとめていたりする。あと、このコンテストの特徴はガン、銃を扱った作品限定であること。

 というわけで、地上と大気圏で台風が荒れ狂っているころ、そんな自主映画の本選会が歌舞伎町の地下では行われていたのだった。

 わたしはミーハーなので、単純にこういう局所的有名人をたくさん見ることができるというのがうれしかった。上記のほかにもBIG SHOTの納富貴久男さんが審査員をつとめ、ハント敬士さんや松山鷹志さん(アニメで聞く声とは違う感じ。あたりまえか)といった役者さんが来ていたりした。で、ゲストに現在「ローレライ」撮影中(というかクランクアップしてポスプロ中)の樋口真嗣さん。

 と、前置きが長くなったんですが、本題はガンコンそのものではない。そこで清順風、というか「殺しの烙印」を意識した作品があったのだけど、それについて審査員が語っているときに樋口さんが話していた余談が本題だ。

 樋口さんによると、清順さんはほとんど編集というものをしない、のだそうだ。

 「ヨーイ、スタート」から「カット!」までの時間を単につないだだけ、というか、頭の中にある構成(コンテ)そのままに撮影を進めていくという恐ろしい芸当をやっているらしいのだ。ほとんど何も切り落とさず、必要な時間をかっちり撮影する。奔放なようでいて、実はそれほど自由に素材を撮りまくって編集しているわけではまったくない。編集でどうこうするということはほとんどない。という話で、つまりは清順の映画というのは単なるOKテイクの連なりということになる。

 樋口さんによると、これは別にスタイルとかそういう「作家的な」ものではなかったらしい。昔の松竹とか日活というのはドケチだったので、多くの場合ポジ編集用のフィルムを焼いてくれず、ネガそのままで編集させられたそうなのだ。

 清順さんのそういうスタイルも、そのような時代的、経済的要請から生まれてきたものだ、ということだった。


・・・書き途中