昨日も帰ってない
昨日は飲み会のあと、某氏の家にお邪魔して、彼が原稿でテンパッテいるという情報は聞いていたですが、そんなことは無視してどかどかとあがりこみ、彼のケーブルでひたすらアニメを見ていたのですが、
なんじゃこりゃ。
「美鳥の日々」にのっけからド肝抜かれる。右手が少女になってしまった(いや、意味がわからんでしょうが、実際わからんのですわ)ヤンキー少年のおはなし。これすげえ。一緒にいた某氏いわく
「見ていてこの話の着地点がまったくわからん」
確かにスリリングではある。
続いてみたのが「光と水のダフネ」。これもっとすげえ。死ぬほどアホな衣装のねーちゃんたちがアクションをひたすら繰り広げる。このバカ衣装にくらべればテレビ攻殻の少佐の意味不明レオタード日常風景なんぞ、ぜんぜん常識の範囲内っす。なんだあの局部にシール貼ったみたいな全裸状態は。
とまあ、すげえ格好なのだが、そんなことにはちっともふれず画面では女の子が物凄い勢いで敵をやっつけており、「ほぼ全裸で敵を倒す」というその異様な画面は、どうにもSODの「全裸雪中行軍」や「全裸オーケストラ」を連想してしまう。知っている人は知っているのだが、これらはAVなのだけど、見てみるとセックス場面は一度もなく(いや、「裏オーケストラ」と称して別にあるらしいが)、そのビデオではなにをやっているかっちゅうと、女の子が全裸でオーケストラをやるだけであり、しかも全裸のまま「できるようになるまで」の、いわばドーバー海峡横断部や社交ダンス部のようなウリナリ的ビルドゥングスが描かれ、しかしやはりその感動の場面にあっても全裸である、という死ぬほどアホなコンセプトを堂々とやったAVなのでありんす。「ダフネ」を見ているあいだ、私が考えていたのはその「全裸オーケストラ」でした。
あと、恋風のCM。こんなものが地上波で。連載が「イブニング」というのもコンテクストが奇妙にズレている感じがして悪夢感倍増。
というわけで、アニメを産業政策にするっていうお役人さんは、日本アニメがこういう欲望に忠実な愛すべき99パーセントのなんとやらの1パーの上澄みであることを知っているのだろうか。大量のエロ同人誌とエロゲーの上に一部の「見栄えのいい」部分が成立していることを知っているのだろうか。
基本的に猥雑で下劣な裾野なのである、アニメにかぎらない、サブカルチャーというものの活力というやつは。それに公的資金を注入することで、そうした活気が削がれるとは考えないのだろうか、官僚は。それともエログロ込みで引き受ける覚悟を固めているのだろうか。
「お役人にはわかるめえ」とまでは思いませんが、そんな無駄金使うんだったら、昨今のアホな著作権取締をやめたほうが、知の共有を法的に保護したほうが、ずっとずっとそういう産業の育成になると思うぞ。