で、ロスト・メモリーズですが

 とりあえず、今村昌平の出演が激しく謎。なぜ今村昌平

 なんで日本警察ことJBI(ジャパン・ビューロー・オヴ・インベスティゲーション)の持っている小銃がM4系なのだろうか。いや、そもそも「伊藤博文が暗殺されず、二次大戦に勝利した世界」で、なんでJBIみたいな英語の略称が使われているのだろうか。

 いや、べつにこれは設定のアラではないですよ。現実の世界だって、映画でお馴染みのヘッケラー&コッホはドイツだし、SIGはスイスだ。別の国の銃を制式すること自体は珍しくはない。

 しかし、ここにはなにかある気がする。「人狼」の架空世界ではドイツの銃、ドイツの車が使われていた。ここにはそれがない。「ロスト・メモリーズ」の「二次大戦に勝って」朝鮮半島を支配しているはずの日本は、しかしどうみても「二次大戦に負け、アメリカに占領され、アメリカ文化を色濃く受け継いだ」現在の日本だ。どこかで分岐した「もうひとつの日本」ではなく、あくまで「現在の日本」みたいな国が「ロスト・メモリーズ」の中の抑圧者となっている。

 そんな、「もしも世界」設定の欠落、あるいは意図的な無視。そこに、ぼくはアメリカ文化の他国への発信における、奇妙な中継地点としての日本、という立ち位置を見てしまう。奇妙に偏向した他国の文化フィルタとしての日本。それが、この映画の中に(たぶん意図せずして)表れてしまっているのではないかしら。

 とはいえ、M4みたいな下品な銃はやめてほしかった・・・。