ストレンヂア

オープニングクレジットにおける音楽の入り方、という点では、ここ数年の映画で私的ダントツの一位。太鼓(なのか?打楽器)の一発目が入った瞬間、背筋を気持ちのいい電流が駆け上っていきましたですよ。あんなに神がかった曲の入り方ここ数年観たことない。凄すぎ。

という点を強調するのもアレなので、そうじゃなくても非常に気持ちのいい映画になっている、とは言っておかねばならないでせう。いや人ばったばった死ぬけど。血ィどっばどっば出るけど。最後なんかもう下克上もいいところ。主人公を除く登場人物がことごとく己の欲望に忠実で、それがちっともイライラしない。むしろ気持ちいい。展開がありきたり、とか言われてるけどね、こういう作劇ってけっこう難しいと思いますですよ。みんな好き勝手動いていて、でも不思議と全員嫌いになれない、ってのは。

というか、脚本が高山文彦なのね。

個人的にはちょいノレなかったエヴァとか(いや、ビルにょきにょき、とかヤシマの準備で運ばれてくる初号機とかは良かったんですけど)、ちょいアレだったスキヤキとかに比べて、アニメ映画としても、ウェスタンな時代劇としても、こっちのほうがよく出来ている。なにげに重要な作品であることは間違いないんだけど、いかんせんパブが地味。「時かけ」みたいに口コミで広がる類の良さでもないしね(ええと、私は良い作品だからといって、いつも口コミが可能であるとは思いませぬ。明らかに口コミ「しやすい」良さとそうでない良さというのはあるのです)。内容が地味だからといわれればそれまでなんだが、それにしてももうちょっとこの映画を見てもらうやりかたがあったんじゃないかと。長瀬くんだけでは足りなかったか(あれ、竹中氏は?)

その長瀬くんは、正直上手い。大塚兄貴と山ちゃんに挟まれて、聴きおとりしないってのは、相当なもんだと思いますよ。ちょっと井上和彦に近い雰囲気かも。子役の子は許容範囲ではあるけれど、ちょっと気になったかな。でも些細なこと。

殺陣が気持ちいい、動きが気持ちいい、アニメの活劇という、このご時世では貴重な映画を見たい人がいたら、いまのうちに。なんか終わりそうなんで。

あと腐濃度が高い。見る人が見れば。そういう人にもおすすめ。