最近何をしていたかというと

出勤しようと朝家を出て、病院に立ち寄って血を採ったら、白血球は500しかないのであなたは外に出られません、といわれ、そのまま家に荷物を取りに帰る事も許されず、入院するなどとは思っていなかったので一冊の本もなく、ただただ病院に閉じ込められておりました。

で、何をしていたかというと、書くほうのお仕事。幸いにも、一冊の資料とパソコンだけが鞄の中に入っておりました。腹を括れ、というどっかのだれかの思し召しだと思い、娯楽を一切断ってひたすら仕事をしておりました。実は半分くらい趣味な感じの楽しいお仕事ではあるのですが、実際取りかかってみるとこれがすっごく難しい。何が、枚数が。

相当枚数を書かなければならないお仕事です。〆切も決まっております日々出勤しながらではどう考えても2ヶ月はかかると思っていたのですが、入院中は恐ろしい事に私は一日平均40枚の原稿を生産しておりました。400字詰めで。最高の日は80枚に到達し、こうなるともう自分でもわけがわかりません。これが缶詰というやつに近い状態なのでしょうか。私は10日間で400枚近くの原稿を上げておりました。すでに半分。自分が恐ろしい。

そうしているあいだに

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/111455.html


「SFが読みたい!2008年版」で第一位に選んでいいただきました。投票してくださったみなさま、ありがとうございました。円城さんとお話しさせて頂いた時の模様が収録されているので、ご興味のある方はどうぞ手に取ってやってくださいまし。

余談ですが、今月末SFマガジンに掲載される「From The Nothing, With Love」の著者校はまたもや病院でした。100枚強。「虐殺〜」も「The Indifference〜」も私の書いたものはいまのところみな病院で最終チェックしています。


ところで、最近咳が止まらず、原因ははっきりしていて放射線治療の副作用なのだけれど、そのおかげで映画館になかなか行く気がしない。咳で他の観客の皆さんに迷惑をかけてしまうのじゃないかと思うと、気持ちがしぼむ。といいつつ、土曜に退院したあとは耐えられずに「アメギャン」を観に行ってしまったのだけれども、リドスコがビスタ、というだけでなんか気味が悪い。なんというか、その、普通の映画になっているところが特に。いや、すごく楽しいんだけど、なんか不気味というか、騙されている感がみている間ずうっと、こう。なんか重要な事をしれっと省略してガンガン映画を進行させて、観客がその欠落に気がついていないのを楽しんでいる、というような妙な感じが。何かが、何か重要なことを隠されているような気味の悪さが。しかしうまく言葉にできない。

でもまあ、いい映画だったとは思いますです。