静岡

　まず、この映画はあんま怖くない。ゲームと違って。

　ゲームはものずごい怖かった。バイオなんかは結局のところ脅かし系でしかないけれど（とかいう書き方すると、どこぞのオーメンと一緒ですな。ははは）、こいつは尋常じゃなく怖かった。怖かっただけじゃなく、嫌な気持ちになれた。怪物に長渕キック入れているときとか、とっても嫌な気分だ。

　ところが、この映画のクライマックスで床面に「地獄」が開いたとき、ぼくはといえば怖いどころか、拳を振り上げて雄叫びをあげたい気分になっていた。いや、もちろんやらなかったけど、でもそれだけわくわくしていたの。なんでって？だって、そりゃ、

エクソシスト３とイベント・ホライゾンが一緒にやってきたんですよ！。盆と正月による2正面攻撃ってやつじゃないですかこれわ。痺れるなってのが無理ってもんです。

　さらにこの映画はエイドリアン・ラインの最高傑作であるところのヤコブの梯子、あのバイブレーティングヘッドなテイストが全体のトーンに混じっているので、幸せ感は倍増です。え？喜んでるの俺だけ？カロルコの最高傑作だと思うんですけど。

　ああ、なんというか、目の御馳走ってこういうやつなんですかね。EP3とかハリポタなんかはあんま「御馳走」って感じには思えなかったんですけど、これだけかっこいいクリーチャーがたくさん出てきてくれると、それだけでホクホク顔で劇場をあとに出来るってもんです。眼福眼福。とにかく、眼に楽しい映画ってこういうのをいうんでしょうね。確かに怖くない、人生を脅かすような実存的なものに触れてしまった感じは皆無なんだけど、嫌な気分にさせてくれるあたりはちゃんと移植されているので、じゅうぶんオッケーでしょう。

　三角頭はね、出番一瞬だけどむちゃくちゃかっこいい。クラウドなんか眼じゃないくらい大太刀（いや、鉈らしいですが）がサマになってて、ガスガス迫って来るあたりの容赦なさっぷりといったら痺れるくらい。ぼくにはもう、三角頭がサイレントヒルで狂信者どもの秘密結社の戦闘員をガシガシ叩っ斬るゴスアクションがもの凄い勢いで構想されてますですよ。三角頭様が大鉈持ったままサイレントヒルの建物を天井から天井へ。あの防火服戦闘員どもの前にズシャッと着地すると、アスファルトが円形に陥没してシュウウウとか煙ふいているの。漫画で描くなら弍瓶勉推奨ね。それ以外あり得ないから。

　てか、三角頭、人気あんだな〜。ピラミッドヘッド・ドットコムでドメインとってるファンがいるよ。

　話の方はね、みんな怒ってる通り「そんなやる気無いんだったらそもそも謎解きするなよ！」てなもんです。あんな3分クッキングで事情説明されてもなあ。あれだったら完全に説明とっぱらったほうが良かったんじゃないでせうか。

　というわけで、基本的に画で痺れる映画です。ゲーム再現度は確かに高いですが、映画として非常に幸せな具現化がされていますので、ゲームを知らない人でも、シュールでおぞましいものが観たければ、非常に幸福な映画になっているのではないでしょうか。

　これのジョデル・フェルランドたんを観ると、確かに「ローズ・イン・タイドランド」が観たくなりますな。いや、俺は元々観に行く予定ですが。