V!V!V!ビクトリー!

というわけで管理社会ファン期待(だけどアラン・ムーアは御立腹らしい)の「V For Vendetta」予告編ですが

http://www.apple.com/trailers/wb/v_for_vendetta/

この予告編にリベリオン」のサントラをつける予告編制作者の直結ぶりはいかがなものか。頭悪いぞ。とはいえこの映画の撮影はドイツ。リベリオン東ドイツ。もはやドイツの主産業は管理社会映画の撮影か。

スティーヴン・レイがいい感じだし、なんといってもジョン・ハート爺さんのビッグブラザー状態にイェーハハァー、だ。なんといってもこのおっさんは「ジューリアにやってくれ!」な1984でラジオ体操をしていたわけだし(抑圧された役を演じた人間が、こんどは抑圧する人間を演じるというギャグ的事態は、いわばジョン・グレン→ユージーン・クランツとなったエド・ハリス的出世である)、「コンタクト」の金持ちを見るまでもなく、この爺さんはキ○ガイをやらせても天下一品である。だが、いまいちプロダクションデザインが徹底されていない気が・・・車とかSWATのデザインとか、もっと管理社会っぽいデザインにしてくれてもよござんせん?

しかし、いろんな情報を読んでいると「第二次大戦でドイツが勝利してファシズム化したイギリス」という映画の設定が書いてあるんですけど(この映画、ちょっと新機軸っぽいのが、ナチ型というより、ちょっとイタリア型のファシストっぽいデザインで来ているところかな。まあ、関心のない人には「どっちも同じ黒い制服やん」てだけだと思いますが)・・・それほんとですかね。そうだとしたら原作と設定違うような。

原作は「ナチスが」なんてファシズムの源を明確に設定していない「時計仕掛けのオレンジ」型、イギリスが自発的に管理社会になったような気がしたんですけど(うろおぼえ)。「ナチスが」ていうオルタネートヒストリーものにしてしまうと、「ああ、やっぱナチスが悪かったんだねえ」という単純化された話にしかならないわけで、サッチャー時代への嫌悪が根底にあったムーアの80年代的な批判意識からすれば、それって駄目駄目な単純化ですよ奥さん。

映画化を控えた「ウォッチメン」や「ダークナイト・リターンズ」と同じく、この「V for Vendetta」も「80年代の子供」であるわけです。「ウォッチメン」「ダークナイト」の仮想敵がレーガンだったとしたら、イギリスサイドである「V」は当然、人頭税ドッギャーン!なサッチャー政権ということになるわけですが。あそこらへんの、露骨に世相を映したアメコミ作品群が、よりによってなぜ、今の時期に映画化されるのか。興味深いところではあります。