ジャッカス
というわけで秘宝。例によって。
ようやく日本公開が決まったジャッカス・ザ・ムービー。コメント不能。御存知ない人は(あまりいないと思うが)、ジャッカスでぐぐるとよろし。
これこそまさに観たあとで何か言うような類いの映像ではないわけです。びっくりカメラとか電撃ネットワークとか観たあとで何も言うことがないのと同じ。危険度とか尋常じゃないけど。ただ、リアクションの薄い観客が一般的な日本という風土にあっては、一般公開で近所の劇場で反応の悪い客とこじんまりと見るよりは(そういう見方が悪い、というわけではございません。ただ、この映画ではそれはツラい)、こういうイベントで満員の劇場で、みんなでゲラゲラ笑いながら、ポテチかなんかぱくついて観る、ってのがいちばん正しい見方のような気がします。つまり、このファンタの、秘宝読者というある特定の傾向があるメンタリティの持ち主が多く集まった環境での上映は、この映画にとってはいちばん幸福な形態だったんじゃないかしら。
「ヘブンズ7」
またタイ映画。意図せずして、今回3日のファンタで観た映画の半分がタイ映画ということに。
なんというか、ユルいテンポのコメディ映画。会場の反応は今一つのようでしたが、実は自分、これ結構好きです。オフビートというよりは間の取り方を間違えただけのような気もしますが、しかしこのユルいムードとベタベタでありつつも我々の感覚とはちょっとズレているギャグとか、ウェスタンへの愛に溢れたマカロニぶりとか(というか基本的に全編ウェスタンです、これ)、ニコニコしながら観てました。スケッチブックギャグが最高。
基本的にアクション・コメディなんですが、プロットはベトナム戦争を背景に、米軍がタイに持ち込んだナパームを、お宝だと思い込んでいる連中が奪いあう(これ、冒頭で明かされるのでネタバレじゃないです)という「勘違いお宝争奪」の正しいマクガフィンっぷりが、知性というか「映画的な真面目さ」を感じさせてくれて、少し感心しました。
「ガンマー第3号 宇宙大作戦」
深作のSF、というとあの(笑)「宇宙からのメッセージ」なわけですが、SF映画としては「宇宙からのメッセージ(78年)」の10年前に撮られたはずのこの作品(68年)のほうが、まっとうなSF映画になっているのには驚きます。もちろん造型とか造型とか造型とかそういうものは時代とか予算とかあって「宇宙〜」よりもはるかにさみしい出来ですが、スターウォーズをパクろうとして真田広之が宇宙暴走族役で登場するというものすごい事態になってしまったあの映画よりは、シンプルなプロットが功を奏して簡潔で経済的なモンスター映画になってます。
『「エイリアン」の元ネタ』とか司会のショッカー大野さんが言ってたので「それはフカしすぎだろ」とか思っていたのですが、惑星でモンスターを(意図せず)拾って宇宙ステーションが惨劇の舞台になる、とか、惑星から帰ってきたあと指揮官と副官が検疫をめぐって対立する、とか確かにカブる細部がかなりあり、上映が終わる頃までにはすっかり「オバノンはこれ、ひょっとしたら観てたんじゃないかしら」という気分になってました(まあ、良くあるネタなのでただのカブりだというのがほんとのとこだとは思いますが)。