グールド要素
多くの知ったかぶりっ子の例に漏れず、ぼくがグールドを聴き始めたのは(といってもそんな聴いてないけれど)、レクター博士がケージの中でゴルトベルクを聴いていたからだ。「かっけえええええ」。同じクラスに友達のいない、休み時間は文庫本が友達の高校生なんてそんなものなので、許して欲しい。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1514811&GOODS_SORT_CD=102
作品、から作者を逆算する試み、と言えなくもない。
55年のゴルトベルク、と81年のゴルトベルクがある。このCDはあくまで55年のグールドの再生の試みだ。
もちろん、55年の録音には、あのグールドの鼻歌や呼吸が入っている。その演奏の波形からキータッチを抽出し「再演奏」したこのCDには、その「ノイズ」はない。
だれもいないスタジオで、グールドの演奏を「抽出」したハイレゾMIDIのお告げを受けて、かたかたと鍵盤を動かし、誰にも踏まれていないペダルを動かす、自動演奏機械。
作者のアルゴリズムを抽出する、というところまでは行っていないけれど、実験としては面白い。なんというか、「人間」が静かに蹂躙される感じが、こう、うう、萌え。
若い頃のグールドは、どことなくギャスパー・ウリエルに似ているかもしれない。