低開発の記憶

ユーロスペースにて。

http://www.action-inc.co.jp/memorias/

こういうの撮れて、しかも見れたキューバって国は、ずいぶん冷静だと思う。

ピッグス湾がコケ、どうやら革命が本格化しそうなのでブルジョワ連中は我先にキューバを逃げ出すけれど、同じく資産がありつつ「小説家になる」とモラトリしまくる主人公は、主体的決意があるわけでもなく、なんとくキューバに残り、掃除の女の子見てはエロ妄想、ナンパして修羅場って裁判に、とか革命はどこへやら、かなりダメな人全開。革命そのものには距離置きまくり。

で、周囲がなんとなく変化していくなか、気がついたら核ミサイルをめぐってアメリカと自分の場所はヤバイことになってました、というなんともすごい映画。ふと窓の外を見れば、ビルの屋上に高射砲が、浜辺の道路には軍用車が。おおお、いつのまにかだらだらと戦時下だ。

政治に対する距離の置き方が、ずいぶんとしっくりくる。それ以外は相当に嫌な主人公ですけれど。主人公のダメな人加減が素敵すぎる。