スモーキン・エース

ポップでそれなりに楽しい殺し屋たちの中で、FBIパートが異様な生真面目さを放ち、気持ちが悪い。まるでジャックとキングとクイーンばかりがオープンされたボードの上に、ごくごくふつーのスペードの6とかが混じっている感じ。この異様な場違い感がどこからくるのかというと、おそらくレイ・リオッタライアン・レイノルズの顔の造作のせいだろう。このFBIパートのかもし出す生真面目感が、型どおりにはじけてそれなりに笑える暗殺者軍団のキャラ立ちを相対化してしまっている。俺はどこに座標軸をとればいいんだ。映画が終わるまで尻の位置を決めかねた。

はだしのベンのさくっと退場より、カーナハン監督作品ということを念頭に置いた上でのこの映画の最大の笑いどころは、やはり「変装ボックス」のプリミティヴな描写にある。これはもちろん「M:i-III」バチカンにおける変装シークエンスのパロディとして消費するのが120パーセント正しい。カーナハンがなんと言おうと。

対物ライフルを向かいのビルからどっかんどっかん叩き込むあたり萌え。騒乱の現場の高さがいい感じに機能している。しかし最近対物ライフルは映画で大人気だねえ。