FIAWOL

ファイヤーウォール(FIAWOL)」ハリソン・フォードポール・ベタニー

シアトルにあるランドロック・パシフィック銀行に勤務するセキュリティーシステムの専門家、ジャック・スタンフィールド(ハリソン・フォード)は、ハッカー、もしくは技術屋にありがちなことにSF小説のファンだった。銀行の合併を控えたセキュリティの構築に頭を悩ませながらも、SFコンベンションにはきっちり遠征するという趣味人ぶりには職場の人間も呆れ気味。スターリングが出していたファンジン「チープ・トゥルース」を全号持っているというのが彼の自慢だ。彼は職場に「FIAWOL(ファイヤーウォール)」と書かれたシャツを着て出勤する。ファンダム・イズ・ア・ウェイ・オブ・ライフ。それは彼がSFを趣味以上の何かとして見ているのと同時に、ある意味で人生を投げているという自嘲的なギャグでもあった。しかしある日、彼の前に「SFファンを差別するな」「SFってのは生き方なんだ」と真剣に主張し、世間のSFに対する偏見を覆そうと活動するSFファン、ビル・コックス(ポール・ベタニー)が現れ、スタンフィールドの平穏な生活を乱しはじめる・・・。

いや、サブカルとオタクの対立ってのがよくわからんので、つい。FIAWOL、ファンダムってのは生き方だ、この言葉に込められた誇りと、それとセットになった「いや、自分人生投げてますから」という自分をネタ化する精神が、オタクの嗜みだと思っていたのだけれど。非モテであることとか、そういうのも諦めとともにネタ化して笑っていくのがオタクではないかと思っていたのだけれど。どうもそうではないらしい。もうSF読んでるとかアニメ見ているとかそういう漠然としたことじゃオタクじゃないのかしら。エロゲとかやったりラノベとか読んだりしないと駄目なのかしら(どっちも守備範囲外だからなあ)。恋愛資本主義へのプロテストとか2次元への忠誠とか女性嫌悪とか表明しないとオタクじゃないのかしら。とほほ。

だとしたら、世間からも、オタクからも落ちこぼれつつあるような気がしてきましたよ、最近。「しゃあねえなあ、オタクだからよう」と苦笑いしつつ、自分自身を笑いのネタにしてひっそり生きてゆくのがオタクの花道だという時代はもう終わったのですか。オタクも変わりけり。