でも行ってきた

 外注さんの納品が16時以降ということだったので、ソースチェックやアップをするにしても4時をまわらにゃどうにもならん、というわけで、上野に。

 というわけで「栄光のオランダ・フランドル絵画展」ですが、すっげえ混んでてじっくりゆっくり見るような雰囲気じゃなかったのが悲しい。でも今日が出勤扱いになったので代休とって平日に行こうかしらん。

 んで、順路でいくとまず16世紀のネーデルランド絵画、ということでスプランゲルとかが並んでいるのですが、なんか駄目。てか、なんか下品。
 うまく言えないのだけれど、題材といい、色といい、筆の流れのズサンさ加減といい、なんだかオヤジ臭さが漂っている。うーむ、これはうまくない。
 このあたりでかろうじてよかったのは、ブリューゲルの息子ヤンのスケッチとゆーか「動物の練習帳」みたいな感じの「動物の習作(犬)」と「動物の習作(驢馬、猫、猿)」。これは博物画っぽくて、見てて楽しかった。ブリューゲルには博物画の感覚がある、と赤瀬川ゲンペさんも言ってたけど、これはまさにそんな感じ。
 で、次は17世紀のフランドル絵画、という章分けなのだけれど、これも最初のほうは下品さが継続していて駄目駄目だった。とはいえ、いいものもちょこちょこ出てきて、ヤン・ブークホルストの「フローラ」は萌え度が高い、かわいい絵だった。裸だが。

 そしてさすがのルーベンス自画像。黒のたっぷりとした服の質感、背後の闇、すげえかっこいい。黒が黒としてしっかり落ちている感じがまるでリドリー・スコットみたい、とそれ逆だろ、みたいな感動におそわれました。いや、すげえかっこいいっす。写真とかで見ててもあんまピンとこなかったんだけど、ナマで見たこれはちょっと感動、というか「かっこいい」と思ってしまった。同じ黒い衣装をまとったヤン・ファン・デン・フーケの「枢機卿親王フェルディナント」の下品さにくらべれば、そのかっこよさは歴然(これも下絵はルーベンスがやってるらしいんだけど、筆も色もどうにも下品)。
 ユトレヒトの「狩猟の得物」の異様な迫力もすごい。これだけ克明に死骸が並んでいると、すげえ禍々しい感じがする。絵もでかかったし。

 で、17世紀のオランダ絵画、ということになるのだけど、のっけのレンブラントは、有名な自画像がそのボケ具合、というかおぼろなタッチが幽霊みたいでかっこいいのだけど(黒沢清の映画に出てきそうだ。明治時代の「気流の会」の始祖とかで)、その隣にあった「使途パウロ」は駄目だった。なんか、パウロさんの顔がヘボい、というか、いまいち明るすぎる感じ。題材が題材で、しかもでかいだけに、そのこけおどし感も目立っているように思ってしまいました(なんか、素人が好き放題書いてますが、美術ファンの方、怒らないでね)。

 んで、やっと辿り着いたフェルメールだがあ・・・すげえ人。まあ、これが目玉なのだから当然っちゃ当然なんだが、それにしてもこれはゆっくりなめるように見るという感じではない。老若男女がぎっしり集合して、前列に出るのも一苦労。

 しかし、やはりフェルメールはよかった。「画家のアトリエ」自体、前から好きな絵だった(メタっぽい題材とか、画家の背中の黒いラインとか、地図の細やかなテクスチャとか)んだけど、こうやって生で見ると、いくつも気がつかなかったことが見えてけっこう感動する。というか、ほかの絵が今一つ私の好みに合わなかった(てか、やっぱなんか下品)ので、よけいそう感じてしまったのかも。ルーベンスの自画像とフェルメールで充分以上にモトはとったけど。

 しかしやっぱ、人、大杉。フェルメールはもうちょっと引いたところからも見たかったんだけどなあ・・・。