宇宙戦争を買う
「宇宙戦争」が最悪、というひとは、たぶん現実に打ちのめされたことがないひとなんじゃないか、と思えてきた。世の中がデタラメで圧倒的で辻褄が会わない場所だ、とはあまり思っていなくて、戦えばなんとかなるんだ、むしろ戦うべきなんだ、とか、物事には理屈があるんだ、とか、思いもよらないことなんて起こらないんだ、とものすごい安心しながら生きているんだろう。たぶん、ヒトが無力であることに耐えられないんだろう。わけのわからないことが嫌いなんだろう。
そういう大人にならないためにも、SFは若いうちに読んでおいたほうがいい、と最近真剣に思うようになってきた。情操教育にSF。冗談のような話だけれども。
この世の中がまったく理不尽な場所であること。それについてぼくは、あなたは、どうしようもないこと。それを知ること。
本田美奈子の死と、宇宙戦争という映画は、ぼくのからだに起きた理不尽なできごとを経由して繋がっている。あなたは、体と心中するしかない。叙事的な映画というのは、そういうことを嫌でも感じさせてくれる。
あれは、容赦ない。あれは、人を選ばない。あれは、突然やってくる。できごとというのは、そういうものだ。
死んだことのある人はいない、と誰かが言っていた。
喰いタン
ドラマ化ですか。味っ子ファンとしては嬉しいことである(「味っ子II」より「喰いタン」のほうが面白い、という人もいるからなあ)。しかも日本テレビ。大食いつながりということで言えば、ここは以前、野島伸司が発狂するとどれだけ凄いか(「俺の胃袋は宇宙だ」は凄すぎる。スーツにネクタイで孤独だがアホすぎるデスマッチに挑む草なぎ君がカッコよすぎる)、を見せつけた「フードファイト」という大傑作をモノにしているので、期待したいところではある。しかしなぜDVDにならんのだ、「フードファイト」。とくに特別編は列車ごとのステージという設定の燃えもさることながら、ラスボスに萩本欽一を配し、しかもその欽ちゃんが冷酷かつ圧倒的で大笑いできた。あんなアホで面白いドラマそうないと思うのだが。