「Children of Men」
アルフォンソ・キュアロンの新作。
http://www.apple.com/trailers/universal/childrenofmen/
P・D・ジェイムズの「人類の子供たち」の映画化。未来としては「CODE 46」「夢の涯てまでも」型の、建築ではなくガジェットで異世界感を出してゆくタイプ。かつてはこれは低予算映画の手法だったのだけれども、この映画はケイオティックなロンドンに軍隊が入っていて、戦車とか鎮座しており、お金かかってます。
混沌の街の描写が、ちょっと「ヒーザーン」っぽいかも、と思いました。こういうタッチのSFはけっこう好きなんですが。
ちなみに、映画ではどうなるかはわかりませんが、原作は独裁型ディストピアで、「国守」なんて痺れる階位のひとが大ボスです。設定としては、子供が生まれなくなって4半世紀、という、「侍女の物語」「ダーウィンの使者」系の不妊世界系列です。
しかし、管理されるにしても混沌に叩き込まれるにしても、イギリスはディストピアにされやすいねえ。暗黒サンフランシスコとか暗黒ワシントンとかないからねえ。あと、軍隊の装備が現代的な軍隊なのも、最近のディストピアの特徴ですか。かつてはSSか国防軍かソ連軍のバリエーションしかなかったものですが。
しかし、電車の中でボーッとしてたら外から投石されるとか、町中でいきなり爆弾が爆発するとかいうのを、カットを割らずに見せてくれるのはありがたいことです。技術の進歩が無闇なワンカット化を促すのには、いろいろ言う向きもありましょうが(今月の「文學界」でも阿部和重が「ユナイテッド93」に関して、以前「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「サイン」で言及したスタイルとしての疑似ドキュメンタリズムに触れていますが)、私はカットを割らずにすごいことが突発的に起こる画というのが単純に気持ちよくて好きなので、こういうのはガシガシやってほしいと思う。