アビエイター

 音楽がハワード・ショアなので、ハワード・ヒューズが引きこもって部屋が新聞紙やら自分の尿やらで荒れ果てはじめると、どうにもクローネンバーグの映画にしか見えなくなってきて困った。というかぶっちゃけ「戦慄の絆」か「ザ・フライ」。ディカプリオがいつ「ほすィんだ・・・アイスクリームが・・・」と言いはじめるか(てかアイス食ってたな)と思うと意味不明にドキドキする。いつハワード・ヒューズは飛行機と一体化してニュー・フレッシュになるのだろうか。そんなアホな妄想がぐるぐる渦巻いていたら、次の場面ではヒューズの部屋が「スパイダー」になっていて頭を抱えた。そしてショアの明るいんだか暗いんだかわかんない微妙なテーマ曲が流れる。そしてサー・イアン・ホルム登場。これでクローネンバーグ映画だと思うなという方が無理だ。そういうモードに一度入ってしまうと、ケイト・ブランシェットの背中を愛撫するディカプリオの手が、メタリックな飛行機のボディを卑猥に撫でさするカットにすりかわる、なんてあまりに分かりやすいカットが、なんだか「クラッシュ」の一場面に見えてくる。てか一緒か、コンセプト。精神崩壊とメカフェチ。どうしたスコセッシ、このクロ様へのリスペクトぶりはどうしたんだ、とスコセッシ×クローネンバーグ、という老臭漂うカップリングを想像して暗澹たる気持ちになった。どちらが受けでどちらが攻めか興味深いが、こういうシチュエーションの場合、おとなしそうな眼鏡理系キャラが攻めというのが萌える人が多いらしい。つまりクロ攻めである。まあスコセッシは昔クロ様好き発言してたしな。

 というわけで「アビエイター」、俺的には「スコセッシがクローネンバーグにガチで告白」という映画になりました。そんなラブレターでアカデミー賞をとろうなんて無理ってもんです。

 あ、俺アレック・ボールドウィン好きだわ。今日気がついた。