現代美術な日

しかし病気でもないのに、これだけ映画を見れてない月も珍しい。まあ、忙しいせいなんですけれど。

乃木坂は国立新美術館の「20世紀美術探検」なる企画展示でジョセフ・コーネルが一点、展示されているというので、ひとりでいってくる。19日で終わっちゃうらしいので。こういうことがあるから映画がさらに観にいけなくなる。トホホ。

目当てがコーネルなので、それを眺めることに時間の大半を費やし、ほかはささー、と瞬間的に判断して(リキテンシュタインとかウォーホルとかああいうのにはまあああったく関心がないので)、目に留まったものだけざくざく見ていく。

コーネルはよかった。のだけど、そのすぐ近くに展示してあったマン・レイの「贈り物」。これ生ではじめて見たんですが、そのあまりの凶悪さに笑ってしまいました。

これは有名なオブジェなんで知っているひとも多いとは思いますが、アイロンの裏に画鋲というか釘みたいなものがずらっと並んでいるんですな。なんだか子供が考えた凶器のような印象を、生で見てはじめて受けました。

そして、オブジェをささーっと見ていくと、やっぱりマン・レイのオブジェはコンセプトを超えた可愛さやお茶目さが漂っていて、ほかのオブジェより断然面白い。なんというか、こういうと語弊があるんですが、中坊的バカっぽさがあるというか、お間抜けな攻撃性があるというか、そういうガキっぽさがあるっちゅうか。

例のデュシャンの「泉」もあったんですが、今見ると便器が妙にレトロなデザインで、これはこれで物としての面白みが時代をずらすことで出てしまったというかなんというか。

あと、ハイレッド・センターの作品群も荒川修作といっしょに展示されていて、ゲンペさんの「ヴァギナのシーツ」が純粋にかっこよかったので、ちょっと感動。SFっぽいちゅうかなんちゅうか、ゲンペさんはそんなつもりなかったと言いそうですが、なんだかんだ言ってきっちりデザインされちゃってるんですよね、これって。バイオメカニカルなかっこよさ。「スキズマトリックス」に出てきた「括約筋で開くハッチ」みたいな。80年代にサイバーパンクを経てしまった現在では、むしろこれがふつーというか。いっしょにあった荒川さんの作品よりよっぽどかっちょいい。

あと、ロシア・アヴァンギャルドな映画ポスターも展示してあったり、これまたお気に入りのルイーズ・ニーベルソンもあったりして、伊藤的には意外とおいしい展覧会なのでした。これで「マテリアル」の部屋にタピエスがあれば完璧だったのになあ。惜しい。