狗では私は倒せない

年末はブラウン管に映るラムたんの顔を見ながら過ぎて行った。わがままドジっ子ぶりに萌え萌えだ。

といっても、謎のクレオール方言でしゃべる鬼っ娘(どうでもいいことだが、「娘娘」と書いて「ニャンニャン」と読ませる中国語というやつは偉大である)のことではない。

いまラムたんといえば、当然だがラムズフェルドのことである。覇権国家アメリカ合衆国のセクデフである。

セクデフ、というとセクハラみたいで微妙にセクシャルな感じがしなくもないのでわざわざ使ってみたが、これはSecDefのことであり、つまりこれはセクレタリー・オブ・ディフェンス、いわゆる国防長官をワシントン業界っぽく略した言い回しのことであるから、すこしもやらしいところはない。

しかしセクレタリーというのは日本語で秘書のことであり、つまり国防長官という役職は、国防に関する、大統領の秘書、なのである。ラムズフェルドはブッシュの秘書なのである。フランス書院的には秘書といえばやらしいと相場が決まっているのである。「秘書の秘密の夜〜守るより攻めて〜バグダッドの暑い夜・私のミサイルは発射寸前〜これが予防戦争よ」という題名でイラク開戦に関するラムズフェルドのドキュメンタリをつくっても、その題名にまったく嘘はないわけである。

という題名でなかったのが残念ですが、夜は紅白も格闘も見ずに、「ラムズフェルドの戦争〜米国防総省の内幕」をはじめとするNHKのドキュメンタリ群を見て、すこしも明るい気分になる事なく、世界ってどうしようもねえなあ、と憂鬱な気分で、人生で初めて、病院で年を越しました。みなさんは家族や友人や(この項のみ玄田哲章の声)恋人とめでたく年を越したと思われますが、私は白い巨塔のなかで、ラムたんのヴィラン顔をみながら、静かに病に朽ちて行くこの身のはかなさを思い、明日の少年頭脳カトリの再放送に希望をつなぐのでございます。

今年もよろしく。