駄目な上司のいる会社が、そのまま駄目な組織である可能性

「はい、電話相談です」
「すみません、ぼくはいま、とてもとてもたいへんな悩みがあって、思いきって上司に相談してみたんですが、『執着は危険だから、気をつけたほうがいいよ』とか『未来を見るときは注意が必要だね』とか注意だの気をつけろだのジェイダイとしてはだの、まるで役に立たない一般論しか語ってくれません。注意もしてるし気をつけてもいるってんだよ!んなタワゴトじゃなくて具体的な処方を言ってくれ!・・・取り乱してすみません。こんな上司を持ってしまった私はどうしたらいいんでしょうか」
「暗黒面がイイと聞きます。一度ためしてみては?暇つぶしにもなるしマジおすすめです」

「はい、電話相談です」
「すみません。私の部下が悪い仲間に感化されてしまいました。それもこれも執着が原因です。私の組織のモットーは『執着は悪への道』なんですが・・・私の部下はある女性に執着するあまり、私たちの組織を捨てようとしています。あまつさえその女性とのあいだに子供までつくってしまいました。できちゃった、ってやつです。本当に腹立たしい。彼女と付き合い出してからは私のほうなんてこれっぽっちも見てくれません。このあいだ、『いままで至らない部下ですみませんでした』なんて殊勝なことを言ってくれたのに・・・あれは嘘だったんですよ、結局。こんど、その彼女が遠場に出張に行った私の部下にわざわざ逢いに行くとぬかしているので、二人が対面している現場に乗り込んでいって、おまえが誰の部下か教えてやろうと思っているのですが・・・」
「あなたのほうがよっぽど部下さんに執着しているように聞こえます。冷静になりましょう。あと、ふたりが喧嘩していたらちゃんと止めに入ってあげましょう。とくに部下を奪われ憎しとは言え、女性は男として守ってやらなければなりませんよ」

「はい、電話相談です」
「銀河皇帝とかいう誇大妄想の気があるひとに、組織が乗っ取られそうなんで、上司が直接対決に乗り込んでいったんですが、数分したらあっさり諦めて帰って来てしまいました。『私では力が及ばんかった』とかあんまりな言い訳をしています。こういう上司を持ってしまった私はどうしたらいいんでしょう」
「田舎に引っこむしかないでしょう」

「はい、電話相談です」
「いや・・・この前相談した者です。その、なんというか、解決しました。部下は諦めました。ですが、田舎に引っ込んだら、大好きだった元上司と水入らずの生活が待ってました。人は脳内上司だって言いますが、そんなことはありません。実在します。だから、とてもしあわせです」
「それはよかったですね。お幸せに」

・・・別に「エピソード3」が嫌いなわけではなく、もちろん大好きだ。前の日記じゃ「『映画力』は宇宙戦争のほうが断然上」とか書いたけど、スター・ウォーズはそもそもイベントであり文化事業でありワールドカップとか地球博とかと同じ全地球的共同体験なのであって、映画ではない。いや、これですら映画だというのが映画というメディアの底の深さでありいい加減なところでもあるのだけれど。そんなお祭りに「映画としては」なんていうのは野暮ってもんじゃありませんか。実際、面白いし。

 ただ、あれほど「お話皆無」「ドラマが薄い」言われている「宇宙戦争」に比べてもドラマが薄いというのは、まあドラマなくてもいい人(あってもいい人である)なんでどうでもいいっちゃどうでもいいんですが、納得いきません。「父親になった瞬間に父親であることを放棄せねばならない」あのどうしようもなく意地悪なエンディングの濃密さだけで、軽くSW3本ぶんドラマしていますから。

・・・で、旧3部作を家に帰って見直してみてショックだったのは、レイアが可愛く見えたこと。自分がオヤジになって美的基準がだいぶんユルくなったということなのか。正直、うろたえた・・・が、字幕で見たらそんなに可愛くなかった。ぼくがひさしぶりに見て萌えたのは吹替えのレイアだ。今出てる最新版のDVDって誰がアテてるの? やっぱ高島雅羅さん? 詳しい方、情報ください。

 ・・・で、何が萌え萌えしいかというと、字幕ではフツーに喋っているのだけど、吹替えではお嬢言葉。ハン・ソロとの「好きなくせに」「うぬぼれないで」掛け合いも姫言葉モードだとびっくりするほど萌える。そして萌えているうちにキャリー・フィッシャーが可愛く見えてきて洗脳完了し、あの「愛しています」「知ってる」で身悶えするまでになるのだった。

 レイア萌え〜。

 とかキモい叫びを上げながら、エピソード3を見てみると、ビジュアル的に圧倒的に勝っているとばかり思っていたナタリーのパドメがまったく可愛くない。ぜんぜん綺麗じゃない。まあ、ルーカスはスピルバーグ並に女性の顔を綺麗に撮るのが下手だと分かってはいるんだけど(スピの「宇宙戦争」にしても、ダコたんの顔はまったくもってクソガキモードで撮られていたので、m@ster氏が言うようにロリっ気皆無だったし)、だったらそもそもお姫さまなんか枢要な位置に出すな、と言いたくなる。もうひとつ言えば、「ターミナル」では少なくともキャサリン=ゼタ・ジョーンズが可愛く撮られてたので、スピは進歩しているのかもしれん。

 撮影の問題は映画にとっては(そして女優にとっては)致命的なんだけど、それを抜きにしても(そしてぼく自身のブサイクさを抜きにしても)、レイアとパドメ、どっちといちゃつきたいかと言ったら圧倒的にレイアだ。たぶんここに新SWの問題のすべてが集約されているような気がする。それを確認しに行くためにもう一度、こんどは吹替えでEP3を見に行くつもりだけど、EP1&2を吹替えで見た限りでは、意見がかわりそうにはないなあ。

というわけで、

  • 「議長逮捕後は元老院は一時的にジェダイ評議会が掌握する」「あなたを逮捕する、議長」あんさんそらクーデターやんけ、な政治的強権を発動するジェダイ評議会萌え〜。
  • 「私は政治が嫌いだ」「ジェダイは正義と平和を守ってきた」正義と平和という言葉自体の政治性に知らんぷりを決め込むジェダイ萌え〜。
  • 「それは脅しかね、マスター・ジェダイライトセーバーを抜くや否や宙返り決めてジェダイ3人を瞬殺する最強モードのパルパティーン萌え〜(皇帝メイクよりマクダーミドさんの素の顔の方がかっこいいのにな〜)。
  • 「オーダー66を実行せよ」オーダー66という言葉自体に萌える。

政治化した武力集団の壊滅、という点では、新撰組や押井のケルベロスっぽくて、そこがツボでした。世界がファシズム化していく過程で、旧時代の組織が潰されていくという物語は、私のハートをたまらなくゆさぶるのでした。ラストで皇帝とベイダーと若きターキンがデス・スターを眺めているとこで、デッキにいる帝国軍の制服を着た士官達を見ていると、妙にティターンズを連想してしまって苦笑。いや、劇Zはまったくもって見に行くつもりはないんですけど。なんとなく。

というわけで、この映画の主役はアナキンでもオビワンでもなく、俺的にはパルパティーン銀河帝国皇帝陛下であらせられるので、そこんとこよろしく。

参考:「皇帝の部屋」
今回、おなじみの電撃のみならず、あの高齢でシビれるライトセーバー捌きを見せつけてくれた偉大なるディクテイター、パルパティーン銀河帝国皇帝陛下のサイト。