キャラは戴くが歴史は要りません

早川文庫の復刊フェアですが、レム、ティプトリーに次いでディファレンス・エンジンは売れているらしい、と教えてもらう。あんな読みにくい小説がどうして、と思って(まちがっても円城氏とわたしの意味不明な解説のおかげではない)、「ディファレンス・エンジン」まわりをいろいろと調べたらどうやら、こういうエロゲーが出るらしい。

漆黒のシャルノス
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4786334

ニコニコ市場に「ディファレンス〜」がロックされていますな。
「予習」に「ディファレンス〜」や「ドラキュラ紀元」をエロゲユーザが買っているのだとか。

公式サイト:
http://www.liar.co.jp/sharnothtop.html

篆刻写真」とか「碩学」とかいう「ディファレンス」で今は亡き黒丸氏の翻訳した単語はもちろん、政府の機関として「ディオゲネス・クラブ」とかあったりして、ああ、「ドラキュラ紀元」も好きなのね、というのもわかる。
けれど、「ディファレンス〜」や「ドラキュラ紀元」と違うところは、様々な史実がどうねじまげられ、ずれたか、というオルタナティブ・ヒストリー的な楽しみはなさそう、ということ。実際の歴史がそのままであれ変形した形であれ物語に絡んでくるようには見えない。

一見「ディファレンス〜」や「ドラキュラ紀元」っぽいけど、ホームズなど過去にあったフィクションのキャラが出てくるだけで、世界設定は史実の歴史の影はみられない、ほとんどオリジナルみたい(そう言う意味では「サクラ大戦」に近いのかもね)。歴史改変もの、よりはファンタジーに近い。「ドラキュラ紀元」が切り裂きジャックを中心とした物語だったり、「ジャバウォッキー」や「ディファレンス〜」が膨大な史実を少しずつずらしたような手付きはない。単にホームズやモラン大佐が出ている「だけ」。

この「キャラだけいじって歴史は手を付けない(オリジナルにしてしまう)」ってあたりがいかにもエロゲーっぽいところ、あるいは同人っぽいところなのかもしれませんね。ホームズとかそういうキャラをいじることには関心があるけれど、歴史をいじることには興味がない、ってあたりが。この辺はつっこんで世代論やゼロ年代論にするといろいろなものが見えてきて面白いのだけれど、ドツボなのは目に見えているのでやめておく。