冷戦抜きのヒーロー

メタルギアソリッド3:スネークイーター」「エースコンバット5:ジ・アンサングウォー」と去年は冷戦が懐古的にフィクションの舞台として使用されはじめた年だった。

というわけで攻殻の2ndを見てみると、一見難民問題がメインに見えなくもないけれど、これもやっぱり最終的な落とし所は冷戦だったりする。デ・ニーロが監督作として準備を進めている「グッド・シェパード」はCIAのスパイハンター、ジム・アングルトンをモデルにした主人公の半生を描くものだそうだ。アングルトンの布いた、魔女狩りマッカーシズムかというくらい苛烈で行き過ぎた防諜体制は70年代にCIAの弱体化を招き、その弱体化は後にエイムズ事件を招く遠因となる。

というわけで、ここにきてフィクションのネタとして冷戦がホットなものとなりつつある。現在映画化が進行中の「ウォッチメン」はこの流れに乗るものなのだろうか。ニクソン体制下の80年代、という架空世界はしかし、あきらかに右傾化したレーガン体制の映し絵だった。ニクソン云々は抜きにしても、あれは明らかに冷戦という背景を抜きにしてはあり得ない結末だった。いま「ウォッチメン」のあの結末が成立すると思える人間は少なかろう。テロリズムが新たな戦争の形態と化し、暴力が遍在化し、国家が戦争行為を掌握できなくなりつつある現在では、あの「世界平和」は絶対に信じられない。しかし、ふたつの国が軍事行動を掌握していた(かのようにみえた)あの時代には、そういう物語はじゅうぶん信じられたのだ。

たぶん「ウォッチメン」から冷戦を抜き去ったものが「Mr.インクレディブル」なのだろう、と思った。今日。

というか今日やっと観たから。インクレ。インクレディブル夫人がエロいと思いました。