不機嫌な現場

amazon:エイリアン アルティメット・コレクション
 というわけでメイキングの入った特典ディスクを1〜3まで(「4」はどうにも見る気になれん)見ましたが、なんなんでしょう、これ。幸せな現場というのがシリーズ中ひとつもないというすさまじい状況。エイリアン、すさんでます。すさみきってます。

「演出のためだったらあらゆる手段を使う」などとのたまい、ヤフェット・コットーに「シガーニーにつっかかれ」とけしかけ、よく言えばアドリブほんとのところマジギレな口論を演出するリドリー・スコット。オッケーが出ているノストロモ号のモデルを、撮影当日に「やっぱこの辺は丸くしたほうがいいな」などと言いだし、おもむろにハンマーを持つやガンガン破壊したあげく、「昼食後に撮影だからそれまでに夜露死苦」などと造形家に言って去るリドリー・スコット。「なんだあの演技は!」などとシガーニーに怒鳴ったあと、「あ、ごめん、今のはジョン・ハートに言うつもりだったんだ。ごめん」などというリドリー・スコット

 人でなしとはこいつのことである。

 英国の習慣であるティータイムの存在に激怒し、お茶のトレイを破壊するイントレランスの権化ジェームズ・キャメロン。対立していた助監をクビにしたらスタッフにストライキを起こされるジェームズ・キャメロンAPCが燃えるシーンで「うぐぅ」などというバスケス役ジェネット・ゴールドスタインを隣で見て「迫真の演技だ」と思っていた1秒後に、自分が有毒ガスに窒息し始めていることに気がつき、ジェネットのあれが演技ではないことを悟るビル・パクストン

「3」の悲惨さはほとんど伝説と化しているので、説明の必要もないくらいだけど、とにかく無惨である。鬼のように交代する脚本家。脚本が存在しないうちから組まれ始められるセット。撮影に突入したとたんパーキンソン病で交代する撮影監督。「3」はほとんど「ロスト・イン・ラ・マンチャ」といっても過言ではない。なまじ予算とブランドがあったために中止されずに走りきってしまった「ロスト・イン・ラ・マンチャ」。これを見てフィンチャーを非難できる人がいるとは思えない。それほどまでに悲惨であり、ここにおける20世紀フォックスは当の「エイリアン」中の「会社」、ウェイランド湯谷のようでもある。

 なんちゅーか、凄いシリーズだ。どの現場もすさんでいる。どの現場も不幸である。というわけで、このドキュメンタリーを見ているとだんだん上質なブラックコメディーを見ている気分になってくる

 いやー、買ってよかった。久々に爆笑度の高いメイキング。

ビルパク

「真夜中のお散歩か〜い?」
「真夜中のお散歩だ」
  「ターミネーター」冒頭

このあと、パンクスのチンピラを演じていたビル・パクストンターミネーター最初の犠牲者となる。そして、かれのフィルモグラフィーがはじまった。

http://hudson.t35.com/

エイリアン2のハドソンファンサイトというものすごいサイト。ヘタレ専門俳優にして外人部隊経験者、ビル・パクストンファン必見。

結婚式

 の2次会に出てきました。会社の人の。スーツを着ない職場なので、葬式以来久しぶりにスーツを引っ張りだし、ウェストのキャパシティに恐怖する。

 結婚してえ、と真剣に思った(相手がいないけど)。やばい、老いたのか、俺は。大学のときは「俺の遺伝子なんか残してたまるけえ」などとイキがっていたというのに。